HR社 (旧、レストレーション・ハードウェア社) が、3月18日に催されたA.R.E. デザインアワードにて、金賞を受賞した。
A.R.E. デザインアワードは Association for Retail Environments(非営利小売環境協会)が後援する小売環境賞となり、店舗デザイン、宣伝方法、ビジュアル・マーチャンダイジング手法、店内レイアウト、陳列什器、照明手法、等が優れていると認められた企業(店舗)に与えられる賞となる。
2014年のデザインアワードはHR以外にも、ホールフーズ・マーケット、アップル、アンダー・アーマー(スポーツ・アパレル)の計4社に送られた。

HR社(旧、レストレーション・ハードウェア社)に関しては、同社の東海岸フラッグシップ店舗となるボストンのバックベイ地区に位置するロマネスク様式の大型店舗が認められての受賞となる。

(外観、内装とも、まるで美術館の様な店舗だ。)

RH 001 RH 002 RH 004このボストン東海岸旗艦店舗は、2013年3月にオープンしたもので、家具専門の「デザイン・ギャラリー」と称した、高級室内家具を販売する店舗フォーマットとなる。

そもそもHR (レストレーション・ハードウェア)は、ステファン・ゴードン氏(Mr. Stephan Gordon)によって1980年にカリフォルニア州ユウリカにてオープンしたものだ。
今でこそ高級志向の家庭用品、インテリア・デコ、家具を販売しているが、1980年の創設当初はその名の通り 「Restoration = 復元」 + 「Hardware = 金物」 で、ハードウェア・ストア (金物屋) であった。

創設者ステファン・ゴードン氏はカリフォルニア州ユーリカ市に、古くからのクイーン・アン調建築の家に住んでいた。
その家を修理・修繕しているときだが、そのクイーン・アン調の家屋を修理・修繕する部品、例えばドアノブ、棚の引き出しのノブ、洗面所の蛇口、等が、1979年にはもう販売されておらず、入手が困難で修理・修繕ができない状態であった。
その不便さから、自身で復元(レストレーション)のための金物(ハードウェア)店舗を創設してしまった。
したがって創設当初のレストレーション・ハードウェア店舗は、家屋復元用のいろいろな金物 (金属パーツ) を販売していた街の金物屋さん(ハードウェアストア)だった。

転機を迎えた他のは1998年。
1998年には47店舗を経営展開して株式上場も果たしたが、当時もうクイーン・アン調の家屋は少なくなり、それに伴いクイーン・アン調家屋の修理・修復パーツの需要がなくなってきていた。
そのためインテリア・デコ商品を主要商品に変える路線に進み、またそれに特化し、現在では
・ HR ストア (寝具、インテリアデコ商品)
・ HR ギャラリー (家具に特化)
・ HR デザイン・ギャラリー (高級志向家具)
・ HR ベビー&チャイルド・ギャラリー (子供用品)
と4種類の店舗カテゴリーをグループ内に有し、ハードウェアストアから完全に脱却して新たなマーケットを見出している。

しかし新たなマーケットに参入した後も決して順風漫歩な経営ではなく、2007年には株式上場から撤退し、経営が行き詰まり掛けた時期もあり、暗中模索の時期もあった。
2010年度以降ようやく売り上げが右肩上がりとなってきて(とは言っても、純利益が前年比割れした年も少なくない)、2012年に再度株式上場。その株式再上場に伴って社名もレストレーション・ハードウェアからHRに改名した。

未だ大成功を収めたとは言えない転身ではあるが、需要がなくなったマーケットの素早い認識と、ハードウェアストアからの斬新な転換。
また新たなマーケットでのアイディアと努力は模範にすべき点と言えよう。
 
(倉本)