ホールフーズマーケットのニューヨーク・ブルックリン店舗のルーフトップ・ファーム (屋上農園) が稼働し始めた。
ニューヨーク、ブルックリン市ゴワーナス地区にあるホールフーズ店舗だが、店舗屋上に20,000スクエアフィート (約1860㎡ = 約560坪) の面積を持つ水耕栽培グリーンハウスを設置。
水耕栽培のため土は使用せず、太陽光、温度、湿度等は全てコンピューターによって最適な状態に管理され、1年中新鮮な野菜やハーブを栽培して消費者に提供する。
グリンハウス内にはマルハナ蜂 (バンブルビー) を放つことによって、トマトをはじめとする野菜類に受粉させる。
現時点での推定では、年間約150トン以上の高品質、無農薬なトマト、レタス、葉物野菜中心とした野菜類およびハーブの生産が予定されている。
このルーフトップ・グリンハウスは、ブルックリンをベースとする商業用大型グリン・ハウスを製作管理するゴッサム・グリーンズ社によって作られたもので、ゴッサム・グリーンズ社の共同設立者の一人であるビラ・プリ氏 (Mr. Viraj Puri) の談によると、水耕栽培をすることにより (土を利用する) 慣行農法に比べると 1/10 の面積、1/20 の水量にて同量の収穫が可能なものになっているとのこと。
商業用グリン・ハウスを手掛けてきたゴッサム・グリーンズ社にとっても、実際に稼働している食品スーパー店舗の屋上にグリン・ハウスを作ったのは初めての試みとなり、大きな期待と共に今後の農作物生産の新たな方法として伸ばしていきたいと語った。
ホールフーズにとっては同社の第5番目のビジネスコンセプトとなる。
同社は同業他社よりも常に1歩先んじたコンセプトを消費者に提供し、好評を得るとともに企業イメージを上げてきた。
「ホール・フーズ」(完全な食物)は、無農薬のオーガニック・フードとのことで、全米初のオーガニック食材を中心としてスーパーをチェーン展開したのが1980年。
第2コンセプトとして、「ホール・ボディ」(完全な肉体)はオーガニック食材を食し、また化学薬品が一切含まれていないビタミン・サプリ、基礎化粧品を付けてこそ完成できる。
第3段階では、オーガニック食材を使用したレディ・トゥ・クックおよびレディ・トゥ・イートの惣菜と中食を強化することにより、忙しい現代人への新たな食生活の提供。
第4段階では「ホール・プラネット」(完全な惑星=地球)のために、3つのR (リデュース、リユーズ、リサイクル) および地産地消の情報発信源。
と言うことで、提供商品だけではなくその企業イメージを高め、「ホールフーズ」と言うブランド力を向上させ、これまでの発展に繋がってきた。
現在では「ホールフーズで買い物をする」と言うことがある種のステータスにまでなってきており、ブランド・バリューを確立させた。
今回の新たな「ルーフトップ・ファーム」は、その商品販売からくる利益よりも、「新鮮さ」、「(面積や水が少なくて済む)環境問題への取り組み」、「産地直送どころか産地店舗」と、新たなホールフーズの取り組みを提供し、消費者へのさらなる企業イメージ向上となり、そこからくる利益は計り知れないものとなる。
(倉本)