walmartwildoatslogo小売業のキングコング、ウォルマートがオーガニック食材マーケットへの意欲的な参戦を決意した。
ウォルマートとワイルドオーツによる低価格訴求のオーガニック食材だ。

4月後半から 「ワイルド・オーツ社」 ブランドのオーガニック食材がウォルマート全店舗にて低価格で販売される。
(ウェブサイト walmart.com での販売は今年の夏以降に開始されるとのこと。)
現時点ではオーガニック・スパイス、オルガニック野菜缶詰等のオーガニック 「ドライ」 グロッサリ・フードを、「ワイルド・オーツ・マーケットプレース」 とのブランド名の下にて100種類ほどの商品を新規に販売する。

他店舗での同等商品より最低でも25%は安い価格帯 (商品によってはオーガニック専門スーパーより最大40%低価格) になるとのことだが、全て USDA (United State Department of Agriculture = 米国農務省) のオルガニック食材基準を満たした商品となる。

ワイルド・オーツ・マーケット社(当時本社、コロラド州ボールダー市) は1987年から1997年まで、オーガニックおよび自然食材を販売する食品スーパー店舗の先駆者として、全盛期には全米24州に110店舗以上を経営していた。
オーガニック食材スーパーとしてはホールフーズに次いで売り上げが第2位の、当時はネームバリューが高かったオーガニックおよび自然食品スーパーチェーンとなる。
その後1977年にホールフーズ・マーケット社に買収され、2008年に店舗は全てホールフーズ店舗に転換されてしまい、小売店舗としての 「ワイルド・オーツ」 は姿を消すこととなった。

ワイルド・オーツの名前が再びマーケットに登場したのは2011年12月。
当時 (ワイルド・オーツがホールフーズに買収された1977年) にワイルド・オーツ社18%の株式を所有していた投資会社ユカイパ・カンパニーズ (The Yucaipa Companies, LLC、本社カリフォルニア州ロサンゼルス市。2013年には英テスコ社からフレッシュ&イージーを買収。) が、ワイルド・オーツ・マーケティング社 (Wild Oats Marketing, LLC) を創設。
現在ではワイルド・オーツ・ブランドの食材を食品スーパーや飲食店に販売し、小売店舗を有してはいない。

ウォルマートの食品部上級副社長であるジャック・シンクレアー氏 (Mr. Jack Sinclair) によると、「我々の顧客はオーガニック食材を購入したいが、オーガニック食材は高額すぎてなかなか手が出ないと言うことがこれまでの既成事実となっていた。そこでその既成事実を打破し、オーガニック食材の新たな価格位置 (New Price Position) と言うものを我々が作り上げ、我々の顧客に提供していくことが今回の目的となる。」

加えてワイルド・オーツ社 CEO であるトム・ケーシー氏 (Mr. Tom Casey) も、「ウォルマートとパートナーを組むことにより、より多くの顧客に手が届く価格のオーガニック食材を作り上げていきたい。一人でも多くの人に、おいしく、健康的なワイルド・オーツ・ブランドのオーガニック商品を提供したい。」と加えた。

今後はワイルド・オーツ・マーケットプレース・ブランドのヨーグルト、惣菜、ベーカリー、そして生鮮食材も強化していく予定とのこととだ。

ウォルマートは以前にもオーガニック食材(製品)を販売したことはあった。
2006年にオーガニック・ベビーフードや子供用オーガニック・コットンのアパレル等を販売したが、当時は 「新しい商品ラインの導入」 としての意味合いが強く、低価格訴求には力を入れなかった。
(ウォルマートなのでそれなりに低価格ではあったが、ウォルマート顧客にとってはその金額を払ってまで新商品群を購入しようと言う動きはなかった。)
2008年以降の不況に伴い、この時のオーガニック食材(製品) 販売は大成功、ウォルマート内で急成長したとは言えなかった。

今回のオーガニック食材販売は2006年とは違い、オルガニック食材を少しでも多くの人達に手が届くようにとの 「低価格訴求」 となるため、主旨が全く違うオルガニック食材販売となる。
また 「ワイルド・オーツ」 の知名度を利用しての攻勢となる。

これまでの 「オルガニック食材は健康には良いが高額」 と言う消費者の意識をどこまで変えていくことが可能か、ウォルマートとワイルド・オーツの動きを見ていきたい。

(倉本)