クローガー傘下にあるラルフズ・フレッシュフェアの新装店舗が、4月10日シャーマンオークスにオープンした。
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ラルフズは1873年にカリフォルニア州ロサンゼルス市にて作られた140年以上の歴史を持つ老舗食品スーパーで、ミシシッピ川から西では現存する最古のスーパーマーケットとなる。
1999年にクローガー社に買収されてその傘下となったが、典型的地場特化型食品スーパーでカリフォルニア州に255店舗を営業展開している。
ラルフズの成長背景はその4つのフォーマットに起因するが、

① ラルフズ・フレッシュフェア (高級志向、アッパーミドルからアッパー層向け)

② ラルフズ (標準型スーパー、サービス重視、ロウワーミドルからミドル層向け)

③ フード4レス (南カリフォルニアでの低価格訴求、ロウワー層向け)

④ フーズ・コ (北カリフォルニアでの低価格訴求、ロウワー層向け)

と、あらゆる消費者マーケットに対応する店舗フォーマットを持っている。

さてその中のラフルズ・フレッシュフェア店舗がシャーマンオークス地区にオープンした。
シャーマンオークスはロサンゼルス市制区内の1つの地区となるが、ロサンゼルスから北西に約16キロ、サンフェルナンド・バレーと呼ばれる場所となる。

店舗の特徴は、
・ 店舗面積72,000スクエアフィート (約6,690㎡ = 約2,023坪)
・ 1970年から同場所に42年間営業していたラフフズ店舗を閉鎖し、2年をかけて全面新築
・ 地区住民からの意向を取り入れた新店舗
・ マリーズ・チーズショップを店内に配置
・ コーシャーフード (ユダヤ教徒用食材) の幅広い取り揃え

となるが、特にその 「マリーズ・チーズショップ」 の店内配置と 「コーシャーフード」 の取り揃えが近隣競合店舗との大きな差別化に繋がっている。

マリーズ・チーズショップ (Murray’s Cheese Shop) は1940年に創業したニューヨーク・マンハッタン最古のチーズショップで、そのネームバリューはチーズ業界では非常に高く、チーズの取り揃えは他店舗とは一線を画す。
自社店舗展開をせず、食品スーパー内にマリーズ・チーズセクションを持つこと(写真のように食品スーパー内に自社店舗を持つようなものだ)による展開はマリーズの経営戦略の一つだ。murrayssectionこれは自社店舗を作る経費を削減できると言うメリットがマリーズにあるとともに、マリーズ・ブランドのチーズによる集客効果が期待できる食品スーパー側のメリットもあり、相乗効果を呼ぶ。

次にコーシャーフード (ユダヤ教徒用食材) は店内に約1,500スクエアフィート (約140㎡ = 約42坪) の占有セクションをブティッキング形式にて設け、ユダヤ教経典の食事規定に従った食材をフルサービスで提供する。
店舗が位置するサン・フェルナンドバレーはシャーマンオークスを中心にジューイッシュ (ユダヤ人) コミュニティーが非常に大きい地区であることが、そのブティッキング店内コーシャーフード・セクションの設置に繋がっている。

前述した通り、地場特化型の地区住民に愛されるラルフズならではの新装店舗と言える。

(倉本)